住宅ローン問題支援ネットの高橋愛子です。
「旗竿地(はたざおち)」というのをご存知でしょうか?
旗竿地とは、下の画像のように、公道に面している間口の部分が細長く先まで続き、奥に建物を建てる敷地がある土地のこと。
旗のついた竿のような形状をしていることからこう呼ばれます(敷地延長、路地状敷地などと呼ばれることもあります)。
最近受けた相続でのご相談は、この旗竿地の売却に関するものでした。
旗竿地は、「竿」にあたる部分の敷地幅が2mないと、奥には建物を建てられないことが建築基準法で定められています。
今回、相談者の方は、竿部分が2m幅にギリギリ足りないために「土地全体の売価は相場の1/10になる」と地元の不動産業者に言われてしまったそうで、
弊社にセカンドオピニオンを求めていらっしゃいました。
いくらなんでも相場の1/10にまで下がることは…
土地を取得した当時の測量図を見せてもらうと、図面上は2mあることが確認できます。実際、「旗」の部分には家も建っています(下図は参考イメージです)。
ただ、最後の測量は昭和40年代で、50年以上前のこと。
時間も経っているため境界線が曖昧になっているケースは割とある話で、今回不動産業者が測量したところでは、2mはない、ということでした。
竿部分は道幅すべて2mあることが必須で、「途中だけ1m95cmでした」といったことが認められません。
かといって、私の経験上、いくらなんでも相場価格の1/10にまで売価が下がることはないのではないか。
一般的には、相場の40%~50%くらいだと思います。
しかしこのままいくと、問題の解決策は以下の2つくらいに限られてしまいます。
・売却を諦め、旗部分に建っている家をリフォームして賃貸に出す。
・1/10の価格を受け入れて、土地、家ともに不動産業者に買い取ってもらう。
いずれも、相談者の方が納得できる解決策ではありません。
確定測量で道幅2mを確保!
そこで弊社がまずアドバイスしたのは、竿部分の確定測量を実施しましょう、ということでした。
これは隣地との境界について、隣接所有者の立ち会いのもとに境界確認を行う測量で、土地全体の測量に比べれば安価で行うことができます。
相談者の方には必要経費と思って了解していただき、信頼する測量士を紹介しました。
その結果……。
竿部分の道幅を2mで確保することができました。
実は2mを確保できるかギリギリの部分もありましたが、隣地の所有者の方の協力もあり、2m確保での境界確定の合意ができました。
はじめに相談した地元の不動産業者は、昔の測量図を見て「2mない」と断言していましたが、しっかりと調査、確認、交渉をすることで不動産の価値が最大化したわけです。
今回はうまく進みましたが、時には測量した結果、やはり2mないことが判明するケースもあります。
でもそういった時も、隣地の方と交渉して足りない部分を買い取らせてもらったり、土地の交換をしたりして、2m以上を確保した事例もありました。
納得いかないまま、代々大切にしてきた土地を手放す可能性も
その後、やはり信頼する不動産業者を改めて紹介し、最終的にこの旗竿地は3000万円相当で売却できて、相談者の方も満足のいく結果になったのです。
もし地元の不動産業者の言うことをそのまま受け入れていたら、相談者の方には300万円しか売却益が入らず、
さらにそこから諸経費が引かれるので、
まったく納得のいかないまま、親御さんやご先祖様が大切にしてきた土地を手放すことになってしまったと思います。
餅は餅屋と思って不動産業者に査定を依頼しても、実際は査定にもいろいろあります。
依頼主の事情によってスピードも条件も変わってきますから、たとえば急いでいる場合は7掛、8掛で提示されて不動産業者の買取りになったり、逆に時間がある場合は希望額での売却を目指しましょう、となったり、様々です。
事情はそれぞれ違うので、何がベストか一概には言えませんが、
今回のように足元を見られて不動産業者に安く買い叩かれ、
それを彼らが高く売って利益を得ている……ということだってあるのです。
不動産の価値は、少しのきっかけで最大化できる
少しでも「おかしいな?」と思うことがあったら、1社だけの査定ではなく、2社、3社に依頼するのも方法です。
結果に引っかかりがあるのに鵜呑みにせず、セカンドオピニオンを取ることは、ぜひ頭に入れておいていただきたいと思います。
今回のケースでは、相談者も、おそらく親御さんもご先祖様も、皆さんが納得できるであろう、その土地と不動産の持つ価値を最大化する形での提案ができて、私たちもホッとしました。
後日、相談者の方から「無事に売却が終わりました」とのお手紙をいただきました。
「相談していなかったら、数百万で土地を手放すところでした。本当に感謝しています」と喜んでいただけて、私もうれしくなりました。
弊社は不動産業者ではありませんが、相談員は不動産業界で多くの実績を持ち、コンサルティングも行っている者が多く在籍しています。
「住宅ローンが払えない」というご相談はもちろんですが、相続、親子間売買などについても、ご相談内容に適したアドバイス、専門家の紹介もすべて無料で行っています。
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「55歳から」という年齢をあえてタイトルに入れたのは、定年前の少しでも早いうちに老後に向けての対策を備えたほうがよいという意味を込めています。必ず55歳から、ということではありませんが、早ければ早いほど解決策の幅が広がります。
老後の住宅ローン問題や老後の資金計画に少しでも不安がある方に、ぜひ読んで頂きたいと思います。