住宅ローン問題支援ネット の高橋愛子です。
先週9月5日に、不動産業界専門紙『住宅新報』様の会員向けセミナー「住宅産業研究会」で、講師を務めさせていただきました。
講演タイトルは「住宅ローン・法人破綻に伴う不動産処理の実態と解決事例~住宅ローン詐欺、債務整理、事業再生の現場における不動産業者の役割とは~」です。重厚な雰囲気の会場には、錚々たる顔ぶれの同業者の方々。私自身、同業者向けにお話しさせていただく機会はあまりないので、少し緊張するセミナーでした。
講演時間は1時間。日々の仕事が山積するなかで、1時間のセミナーのための資料を作成するのはそんなに簡単なことではありません。合間に少しずつ進め、最終的に30ページのボリュームになったのですが、とはいえ、時間的に内容全部に触れられるわけでもなく、こういうせめぎ合いはいつも、ちょっとしたフラストレーションを感じます。しかし、資料にまとめるという作業は自分自身の思いや考え方の振り返りにもなり、とても有意義な時間です。
今回、最も伝えたかったこと
今回は、同業の方に当NPOのへ相談や、私の関わっている不動産業の「現場」の仕事内容をもっと広く知っていただくことを目的にセミナーテーマを決め、資料もそれを意識して作るようにしました。なかでも、最も伝えたかったことは、「再生局面における不動産業者の7つの役割」についてです。以下に挙げてみます。
①即応性:限られた時間で迅速な査定、提案、交渉を行う。
②交渉力:任意売却、担保解除、リースバック等のスキーム提案。
③現場力:物件調査、近隣対応、実務の確実な遂行。
④人間力:利害関係者の間に立ち、信頼を築く。
⑤販売力:短期間で適正価格に近い買手を確保。
⑥専門家連携:弁護士、会計士、コンサル等とチームプレーを行う。
⑦法的リスク回避:価格妥当性を担保し、偏頗弁済、詐害行為、租税回避行為等の法的リスクを回避。
与えられた役割を限られた時間のなかで
このブログでも書いたことがありますが(ブログはこちらから)、私が関わる「中小・零細企業再生」の現場は、何人もの「専門家」がそれぞれの責務を持って当事者支援に臨んでいます。私は不動産業のプロとして不動産の査定、売却、活用、保全を担当し、司法書士や土地家屋調査士といった各種専門家の取りまとめ、また早期に適切な買手を探す必要があります。
弁護士なら法務のプロとして債権者交渉や法的手続きの代理、債務整理を担当。会計士なら財務分析を行い、再生計画を数値化するなど――。このように、10を優に超える分野の専門家がそれぞれ連携しながら、与えられた役割を、限られた時間のなかで「再生」というゴールに向かって粉骨砕身、ベストを尽くすのが現場です。
間違いを正すことはプロの義務
そんな現場において、先ほど挙げた7つのうち私が最も大事だと思っているのが、7番目の「法的リスク回避」の項目です。
連携する専門家から「この件は、こういうふうに進めたい」と言われることがありますが、その方法が実は法律的にグレーだったり、トラブルの芽になる可能性をはらむケースがあります。「詐害行為と受け取られるかもしれない」「偏頗弁済と判断されるかもしれない」。こういうリスクは、当事者のために、絶対に避けねばなりません。
そういった局面の時、不動産のプロである私はチームの一員として、「その価格は適正ではありません」とか「同じようなケースのトラブルが以前ありました」などときちんと正す義務があります。
チームではあるけれど、そこに関わる専門家全員が既知の人物であることはありません。舵取り役の経営コンサルタントが、こちらがハラハラするくらい仕事が雑な場合もあります。これもブログで何度か書いてきた、当事者に不利益をもたらす「悪徳コンサル」の場合もある。そこで間違いやグレーなことを指摘することは、まったくの正論なわけですが、もちろん面白く思わない人もいますから、以降の仕事のお付き合いがなくなることも実際にありました。
不動産業者の本質とは
ただ、これは私の仕事における理念と信念ですから、曲げることはできないのですね。
私の理念は、「損得よりも善悪を基準にする」「知識と意識の両輪で行動する」のふたつです。その結果導き出される「成果を出す力」×「誠実さ・倫理観」こそが、私は、不動産業者の本質なのだと思っています。
基本的に「現場」の仕事をしている私にとって、人前で、しかも今回のような同業者の顔ぶれを前に話すことは非常に労力を使いますし、とてもプレッシャーを感じることではあります。でも一方で、当NPOや私の担っている不動産の仕事について知っていただきたいという思いも強くある。ゆくゆく、仕事でご一緒できるきっかけにもなるかもしれません。
今回、講師を務めさせていただいたことは、改めて自分の仕事の意味や役割について考え、頭を整理するとても貴重な機会になりました。ここで自分なりに導き出したことを、今後の仕事にも繋げていきたいと思います。
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