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判例に学ぶリースバックトラブルの本質

住宅ローン問題支援ネット の高橋愛子です。

不動産情報のポータルサイト『アットホーム』が加盟店向けに発行している『at home TIME』という不動産業界誌があります。そこで連載されている「実際にあった判例から」というコーナーをいつも興味深く読んでいるのですが、最近掲載された記事内容に、大きくため息をついてしまいました。
テーマはリースバック。今回のケースは、「高齢者を勧誘し、相場を偽って自宅のリースバック契約を行わせた事業者に対し、売主の損害賠償請求が認められた事例」でした。ブログをいつも読んでくださっている方は私のため息の大きさをわかってくださるのではないかと思いますが、「またか…」です。

 

500万円で売却した自宅の査定は2,500万円近くだった!

病気のため、自宅から定期的に通院していた73歳の年金生活者Zさんが被害者になりました。ざっくりと経緯を説明すると、こんな話です。
・某宅建事業者の従業員Vが、Zさん宅に営業訪問。そこで、Zさんが自宅以外の物件を売却したいができていない、という話を聞き後日再訪。
・この物件については実際にこの宅建業者が扱い、300万円で売却、更地にするところまで担った。
・さらに後日、VZさんを再訪。「いい話を持ってきた」と前置きし、自宅のリースバックを勧めた。「いま住んでいる自宅をうちに500万円で売却すれば、Zさんは今後もこのまま住み続けられて、しかも月額10万円の支払いを受け取ることができる。管理費はうちが払う」と説明。
Zさんは、自宅の時価相場が500万円のはずがない(安いのでは)と思いつつ、「頭がぼうっとしていたこともあり」売買契約を締結。手付金100万円を受領。
・その後、不審に思ったZさんがこの契約の解約を申し出るも断られ、さらにその後、あろうことか賃料10万円での定期借家契約(更新なし)を、宅建業者に求められるままに締結。
・自宅外物件の売却、自宅の売却、「10万円の支払いを受け取れる」という話の危うさに改めておかしいと思ったZさんが、「自宅以外の物件と自宅を市場価格より低い値段で売却させられた」として、損害賠償請求で宅建業者を提訴した。

500万円で売却となったZさんの自宅は、査定では「2,343万円または2,570万円以上」、固定資産税評価額は2,900万円超の物件だったそうです。また、300万円で売却していた自宅外の物件は「近隣成約事例で600万円」。いずれも、実際の売却金額とは大きな隔たりがあります。
詐欺とも言えるようなこの事例は、東京地裁の判決(令和51127日)でZさんと宅建業者間の契約の取消しと、Zさんの損害賠償請求を認めるものとなりました。「高齢者への悪質な売却の勧誘について、消費者契約法による誤認があったとして」だそうです。

被害者の約7割が70歳以上

このブログでも、「リースバック契約でのトラブル激増。最後の資産を守るために」と題してお伝えしましたが(ブログはこちらから)、近年、国民生活センターへの、リースバック関連トラブルについての相談件数は激増しています(詳しくはこちらから)。相談では、契約当事者の約7割が70歳以上。まさに今回のZさんもここに該当します。高齢者を狙ったリースバックトラブルについての相談件数は、当NPOでも年々増えており、騙す側の手口もだんだん複雑化して悪質なものになってきているという実感が、私たちにもあります。

密室ゆえに事前の防止が難しい

しかし実際のところ、悪徳業者と当事者との契約のほとんどが、第三者が同席しない、いわば「密室」で行われるがゆえに、これを事前に食い止めるのは至難の業です。「リースバック」や「契約書」といった、普段は馴染みのない言葉を出しつつ、相手のメリットだけをもっともらしく説明されれば、その裏に潜んでいるトラップには気づけないのも、わからない話ではありません。そもそも、トラップがバレないように相手も話しているわけですからね…。そこに、高齢で判断力が鈍ってきているということが加われば、敵としては楽勝、「もらった」という案件になるものでしょう。
私は今年1月に埼玉県消費生活相談員研修で講師を務めさせていただきましたが、この研修も、依頼されたテーマは「リースバックの基礎知識と相談対応のポイント」。いかに社会問題化しているかの現れだと思います(この時のブログはこちらから)。

「やってはいけない」ルールの徹底

対策としては、非常に地道なことではありますが、とにかく自分だけでは判断しないこと。絶対に独断でハンコを押さないこと。相手の話の流れに乗らず、必ず一旦考える時間を取ること。それ以前に、見知らぬ業者が電話営業や訪問営業をしてきても、簡単にアポイントを承諾しない、家に来させない(来ても上げない)、自分の年齢や家族構成、携帯番号、暮らしの状況などの詳細を伝えない――、といったルールを自分に徹底することは必須だと思います。
相談者の方がよくおっしゃるのは「でも、家に来た方はとても親切でいい人だったんです」ということですが、相手は騙すつもりで話しているのですから、疑われないように仮面を被るのは当然です。

相談相手がいなければ行政機関を頼って

Zさんのように騙されてから損害賠償請求を起こして勝ったとしても、まず満額は戻りませんし、弁護士費用といった諸経費もかかります。それに裁判は始まってから終わるまでに通常は年単位の時間がかかるため、心身の負担も増える。
金銭や不動産のトラブルに巻き込まれるということは、大切な資産を失うだけでなく、こういった心身のストレスも必ず覆い被さってくるものです。このことは、ぜひ、当事者だけでなく、その家族や周囲の方も理解を深めておいていただきたいと思います。
相談できる家族や親族がいないという場合は、身近なところで言えば、まずは行政期間に相談しましょう。区役所、町役場など、自宅の最寄りの役所に行ってみてください。どこの課がいいのかわからなかったとしても、受付で相談内容を伝えれば、担当部署を教えてくれます。

自主的に情報を取るのが難しい高齢者

これだけリースバックトラブルが増えているなかで、行政側にも打てる手段は試みていただきたいなと思います。専門外なので詳しい方法はわかりませんが、アイデアベースで言えば、たとえば注意喚起のチラシや号外的な広報チラシのポスティング、地域住民向けの説明会の実施なども、少なくとも現状を知るという意味で有効かもしれません。高齢者は、自主的に情報を取りに行くことが難しいものです。大切な情報ほど、どうしたら相手に届くのかをぜひ考えてほしいです。
ちなみに、前述しました埼玉県での研修のように、リースバックの基礎知識を持った相談員の育成も重要です。私もご協力できることはあると思いますので、何かあればご相談ください。

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