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離婚後の養育費受取り率は3割以下!泣き寝入りしないための「養育費保証」に注目

住宅ローン問題支援ネット の高橋愛子です。

NPOには離婚による住宅ローン問題でのご相談がとても多いことはこのブログでも何度か書いていますが、そのなかでも、住宅ローンの話とは別に相談者の方に割と共通しているのが、離婚後の養育費の問題です。
改めて、養育費とは何でしょうか。法務省のホームページでは、このように説明されています。
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養育費とは,子どもの監護や教育のために必要な費用のことをいいます。一般的には,子どもが経済的・社会的に自立するまでに要する費用を意味し,衣食住に必要な経費,教育費,医療費などがこれに当たります。
子どもを監護している親は,他方の親から養育費を受け取ることができます。
なお,離婚によって親権者でなくなった親であっても,子どもの親であることに変わりはありませんので,親として養育費の支払義務を負います。

※下線は筆者
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養育費を支払うことは、「子どもを監護」していないほうの親の「義務」です。それにもかかわらず、子ども家庭庁の『令和3年度 全国ひとり親世帯等調査』によれば、養育費を受け取っている母子家庭は全体の28.1%と、3割以下。父子家庭の場合はそれをさらに下回る8.7%で、いずれにしてもかなり厳しい現状です。

公正証書にしなかった離婚協議書では「養育費月6万円」

先日、当NPOにご相談にいらした方も、この例に漏れませんでした。
数年前に離婚した女性で、お子さんは2人。住宅ローンは離婚時の財産分与で自分の名義になりましたが、住宅ローンは借り換えができないため債務は元夫のまま。ただ住むのは相談者の方自身なので、ローンは自分で払う。元夫には、養育費を1人3万円ずつで月6万円払ってもらうということで、夫婦で離婚協議書も作り、合意したそうです(協議書は公正証書にはしていませんでした)。

ところが、途中から養育費が払われなくなりました。女性は、住宅ローンは頑張って支払い続けているものの、生活は困窮。元夫は連絡先が変わっていてコンタクトできず、仕事もしているのかわからない状況です。強制執行をかけるにも裁判費用の捻出は至難。「もう泣き寝入り状態です…」と、憔悴しきっておられました。
「なんとか住宅ローンの借り換えはできないでしょうか」とのことですが、債務は夫名義なのでそれは難しい。一方、仮に夫が自己破産をするようなことがあった場合、彼女がこれまで払ってきた分が無駄になってしまうとも言えます。現状では解決が難しい、相談を受けている私も胸の痛む話でした。

注目の、家賃保証会社による「養育費保証」サービス

国による「児童扶養手当」も十分でないなか、では養育費は、払われなくなったら全員が同様に泣き寝入りしなくてはならないのでしょうか?

賃貸住宅の家賃保証サービスを行っている会社が展開しているサービスに、「養育費保証」というものがあります。
養育費の支払いが滞った場合、文字通り、その事業者が支払い保証してくれるサービスで、「家賃が滞った時に入居者に代わって、オーナーに対して家賃の支払いを保証する」という本来の業務内容で考えればわかりやすいでしょうか。これを利用することで、受取人は安定的に養育費を確保できるようになりますから、養育費の未払いが社会問題化するような世の中にあって、とても注目されているサービスなのです。

2者間契約可能で、無用のストレスは軽減

メリットはいろいろあります。たとえば契約形態は3者間(支払人・受取人・保証会社)だけでなく、受取人と保証会社だけの2者間契約が可能な場合がほとんど。支払人の承諾も不要ですから、感情が前面に出ざるを得ない離婚協議の只中に、受取人に余計なストレスがかかることはありません。相手に承諾を得たり、書類に記入してもらうようなことはさらに事態をこじらせるだけでなく、離婚までの道筋を阻むことにもなり兼ねませんから、ここは大きなポイントだと思います。

NPOのこれまでの相談者さんの例を見ても、離婚に直面している時に、冷静に離婚協議書を公正証書にしたり、お互いの負う義務や支払い、特に養育費について弁護士を入れてきちんと取り決めているような方は、費用もかかりますし、少ないのが現状です。養育費を受け取っているのは3割以下というデータはあっても、とにかく相手と一刻も早く離れたい一心から目先のことは置いたままにしてしまうのは、心情としては理解できる話です。

「債務名義なし」でも契約できる

もうひとつのメリットは、「債務名義」がなくても契約できるプランがある点です(保証会社によります)。
債務名義とは、支払人に支払いを強制的にさせるために(つまり強制執行や差押えするために)必要な書面のことで、調停調書や、先ほどから出てきている公正証書などを指します。これがあれば、保証会社としてもいざという時に差押えなどができますから、回収はしやすくなります。ただ、先ほども書いたようにそういった書類を当時に作成するのは簡単なことではありません。「債務名義なしでも契約可」というプランは、やはり、受取人にとってはポイントなると思います。

「強制執行認諾文」入り公正証書の効力

しかしそうはいっても、公正証書の作成――特に「強制執行認諾文」を入れた公正証書の作成は強くお勧めしたいところです。
「強制執行認諾文」の入った公正証書があれば、相手が支払わなくなった時に、裁判をしなくても差押えが可能になります。給与口座の差押えや財産開示請求もできますから、受取人の武器のひとつとして、ぜひ、意識に入れておいていただきたいと思います。

養育費保証は、未払いが発生した後では加入できませんが、途中で解消されれば契約可能になります。契約形態によって保証限度額や期間、初回保証料や更新保証料などが各社によって違うので、ブログの最後に挙げる参考リンクから、サービス内容を見比べてみてください。また、初回保証料を負担、または補助する自治体も増えていますので、各自治体への問合せも役立つと思います。

弱い立場の人が合法的に救済されるために

国は国で、20245月に改正民法が成立したことで法定養育費制度ができ、また共同親権の選択が可能になるなど、小さく前進はしています(20265月までに施行。法務省の資料はこちら)。法定養育費は、個別の事情や取り決めに関係なく一律に受け取れるもので、20258月時点では法務省が月額2万円という案を発表しました。ただ、この金額については意見の分れるところかもしれません。

いずれにしても、弱い立場にいる人が合法的に救済されるための制度のさらなる確立は、喫緊の課題だと思います。
養育費保証について、各社のホームページを見てもよくわからないとか、質問したい、ということがあれば、当NPOでのご説明や、希望があれば各社への取次ぎ、信頼できる弁護士の紹介も可能です。遠慮なくご相談ください。 

【参考:各社の養育費保証サービス】

『J・みらい』

『養育費保証プラス』

『サポぴよの養育費保証』

支援自治体一覧(『サポぴよ』より)

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